アロエパワーⅡ

 新型コロナウイルス感染が日本中に広がり、報道はこの話題一色の感がある。

 私も感染の広がり具合に注目し、テレビや新聞、インターネットで逐一状況を注視している。
 栃木県の片田舎である那珂川町の外れにある我が家は、「密閉、密集、密接」からは程遠い環境にある。隣家とは200mは離れているし、前を通る道路は、1日10台の車が通るか通らないぐらいである。しかし、コロナ感染の影響をもろに受けている。

 生業である民宿は三月に入っていた予約は全てキャンセルだった。4月から7月にかけて入ることになっていた小中高生の農泊ツアーも全て中止である。キャンプは3月までは順調に入っていたのだが、4月は予約ゼロ、5月の連休は3日と4日は満杯の予約が入っていたのだが、緊急事態宣言で予約のキャンセルが相次いでいる。多分四分の一か五分の一ぐらいになってしまうのかもしれない。

 キャンプ場は空間が広く、人と対するときはマスクをし、人との間を2m以上開ける、手洗いを励行し、ということを守れば感染のリスクは低いとおもわれるが、外出自粛が言われているのだから、キャンセル続出は当然である。

 我が家にとって打撃は大きいが、感染が終息するまでは致し方ないと諦めることにした。

 一ヶ月先になるのか、二ヶ月先なのか分からないが、いつかは終息するだろう。
 そのときを見据えて、お客さんがいない今、キャンプサイトの整備を進めることにした。 

 先日のことである。新設した区画に番号札を立てていると、

――すみません、ちょっとよろしいですか

 と、いう声がする。見ると、中年の夫婦とおぼしき男女が近づいてきた。

――こんなときで失礼とはおもいましたが、お宅様のブログを読ませていただき、トイレを見させていただきたく、埼玉から来ました

 お父さん、ほら、マスクをしなくちゃダメよ、と女性が脇から言う。男性はあわてて手にしていたマスクをするのが見える。

 私は男性との距離が2m以上あることを確かめて、

――どうぞ、見てくださって結構ですよ

 という。

 トイレ便槽用のタンクや微生物配合剤の話をひとしきりした後、二人は丘を降りていった。話したのはものの5分ぐらいの時間だった。

 これまでにも私の手作りトイレをわざわざ見に来た人がかれこれ5人ぐらいいた。キャンプに来た人の中にも、

――ブログにあったトイレを見るのを楽しみにしていました

 というようなことを言う人が何人もあったのである。

 一年ほど前に、素人同然の私が水洗トイレを自作する悪戦苦闘する様を綴った「水洗トイレを自作した」を柿農園のホームページのブログ欄に発表した。この一文は結構読まれて「キャンプ場経営を思いついた」に続いて閲覧数が多いことはグーグルのアナリティクスの閲覧数分析で把握していたのだが、何人もわざわざ、遠いところは和歌山県の方から訪れる方がいるに及んで、検索サイトを調べる気になった。

――水洗トイレ 自作

 と入れてみると、トップに私の「水洗トイレを自作した」が表示されるではないか。

 これで、メールでの問い合わせがあったり、わざわざ訪ねてくる人がいるというわけが分かったものである。

 さて、先の夫婦とおぼしき男女は、しばし水洗トイレのタンクをのぞき込んだりしていたが、そのうち車に乗り込むのが見えた。

 帰り際庭にいた相方とちょっと話し込み、私のブログを隅々まで読んでいることや、キャンプ場の広いことや景色のいいことに驚いたといい、コロナ騒動が終息した後にキャンプにぜひ来たいと言ったという。

 そして、

――お二人はどうしてそんなに元気なのですか

 と言ったとのことである。相方が、手掛けているFLP社のアロエ製品の話をし、

――私たちが高齢なのにキャンプ場をやるぐらい元気なのは、アロエジュースを飲んでいるからなのですよ

 と言ったところ、興味を示し、それを買いたい、と言い、1リットルのアロエジュースを1本持って帰っていったという。

 現在私75才、相方は77才である。

 この年齢だと、早い人は介護施設に入ったり、訪問介護を受けている。

 そういう中で、私は日々軽トラを駆使しキャンプサイトのあちこちに砂利を敷き、竹を切った竹杭を立てたり、枯れ松をチェーンソーで伐採するなどの肉体労働に明け暮れているのだ。相方はというと季節柄畑をうない野菜の種を蒔く作業をつづけているのである。これも鍬を使うなど楽とはいえない肉体労働だ。

 介護を受けないまでも、現役は引退してグランドゴルフなどの趣味に興じている同年代は多い。

 そんな中で、私共二人は、農業、民宿、キャンプ場運営といういわば事業に取り組んでいるのだから、バリバリの現役といっていいだろう。

 かといって二人とも若い頃から健康体だったかというと、決してそうではないのだ。

 私は現役時代は四度に渡る胃十二指腸潰瘍での入院治療を始め、椎間板ヘルニアでの一年に及ぶ通院加療を余儀なくされた。それにしょっちゅう風邪を引き、薬を乱用していたものだ。

 相方にしても、胃に穴が開いたり、痔の手術をしたり、何度も膝を痛めて仕事が出来ない期間があったりと、いろいろな病に冒された経験があるのである。

 それが高齢となった現在、歯科以外の病院には、相方が23年間、私は11年間行ったことがない健康体になったのだから、これは奇跡といっていいようなことかもしれない。

私は、健康は心と身体の両方が健全にならないと本物ではないと考えている。心の健康については別稿に譲ることにし、ここでは身体の健康について述べたい。

 私が幸運だったのは健康について専門家はだしの相方に出会ったことである。
 

私は現在の住居がある那珂川町の隣の大田原市の分譲住宅に住んでいたのだが、私の家の周辺にいた私の同年代の独り者は皆亡くなってしまったことを数年前に知り、愕然としたものである。相方に出会わず、もしそこに住みつづけていたとしたら、私も同じ運命をたどっていたかもしれない、と、ゾッとしたものだった。亡くなった原因を聞くと、脳梗塞、白血病、アル中、などである。

――男やもめに蛆が湧く

 ということわざがあるが、男の独り者は自己管理がおざなりになりがちなことを表していて、万年床で部屋は散らし放題、食事などもカップラーメンなどで済ませてしまい、淋しさをアルコールでまぎらわせる、といった生活になりがちなことをいっているのである。

 これでは病気になって当然だろう。妻が亡くなった後の私を振り返ってみると、おもい当たることばかりだった。

 相方に出会ってからは、三度の食事、それもしっかりと栄養のバランスを配慮して調理されたものを摂るようになったのに加えて、彼女が手掛けているアロエ製品のネットワークの製品の数々を摂取するようになったことは、私の健康にとって大きかった、と改めておもう。もちろん身の回りの整頓もするようになった。

 私は相方の家に移り住んでから、みるみる健康になったのだった。

 相方は言った。

――人には炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素の他、46種類の必須微量栄養素というものが必要なのよ
 
 46種類もの栄養素をここに記すことは出来ないが、極々微量だが必須だから絶対に必要な栄養素で、例え1種類でも欠けると身体に何らかの変調をきたし、場合によっては何らかの病気になってしまうのだという。

 これは一般的には流布していない知識で、私も相方に出会う前には全く知らなかった。

 例えば必須栄養素のうちのセレンが不足すると血液不良、細胞酸化、を引き起こす。カリウムが不足すると高血圧、腎臓障害。葉酸が不足すると、悪性貧血、口内炎、下痢などを引き起こす、等々。

 私は現役時代は亡妻の介護もあって、それなりの栄養の知識を持って、栄養のバランスを考えた食事を摂っていたつもりだったが、病気がちだったのは、必須微量栄養素のどれかが欠けていたのだろうとおもい当たった。

――現代の食品では46種類もの微量栄養素をまんべんなく摂るためには相当の量の食べ物を食べる必要があって、それは不可能だわ

――そこでアロエ製品の出番なのよ、たとえばアロエジュースには46種類の必須微量栄養素はもちろんのこと、合わせると約80種類の栄養素が入っているのよ

 私は相方の言うことを素直に信じた。
 
 私が現在摂取しているアロエ製品は多岐にわたる。

 血液にいいといわれるアレルギンと栄養を身体中に行き渡らせる役目をするというQ10を混ぜたアロエジュースをコップ一杯(100mlぐらいか)毎日飲んでいる。

 加えて、食べる抗生物質といわれるプロポリス2錠、食べる精力剤といわれるポーレン3錠、脳を活性化させて痴呆症を予防するといわれるアークテックCを3錠のんでいるのだ。

 その他身体に筋肉をつけるといわれるプロテイン入りのコーヒーを一日5、6杯は飲む。

 キャンプサイトの整備をしているので肉体労働の毎日であるが、飲後ものの30分もするとみるみる疲労が回復するエナジードリンクのブーストも一日一本飲んでいる。

 アロエ製品は決して安い商品ではない。たとえばアロエジュースは1リットル正価5940円である。ただし、相方はマネージャーという資格を持っているのでほぼ半額で買えるのだが。
 私が摂取しているものを月額に換算すると、マネージャー価格で約5万円になる。正価で買うとなると月約10万円なのだから、一般の方は驚かれるだろう。そして、

――とてもそんなお金は出せない

 とおもう方がほとんどかもしれない。

 しかし、例えば癌治療で入院して個室に入れば、部屋代だけで医療福祉大では1日1万5千円である。一か月45万円だ。近親に半年入院した人がいるが、部屋代だけで270万円払ったことになる。医療費を含めれば相当な額だったろう。

 それと比べれば、健康を保てる私のアロエ代月5万円は安いといえる。
 
 ともあれ、私は今自分の身体のパワーが全開しているかんじがしている。

先日のことだが、松の木を4本いっぺんに倒した。4本いっぺんにとはどういうことなのか――、

 キャンプ場の新たな区画を作る過程で直径30cmぐらいの松を切る必要があって、根元をチェーンソーで切ったのだが、倒れなかったのだ。見上げると上の方で蔓が隣の松の枝と絡み合っていて、その隣の松がひっぱる形になって倒れないのだということが分かった。やむなくその松も倒すことにしその根元も切った。

 ところがやはり倒れない。その松も別の松と蔓が絡んでいて同じようにひっぱっているのだった。その木も倒すことにして根元を切ったが、またしても倒れない。子細に観察すると、その松もちょっと離れている松と蔓がからみあっている。要するに、その1本の松の枝に絡みついている蔓が微妙に連結するように3本の松の枝に絡みついて、その3本を支える形になっているのだ。もし、その蔓が3本の松の重みに耐えられなくなって切れたとしたら、3本の松はどっと倒れるだろう。どの方向に倒れるかも分からない。もし、その下敷きになったらお陀仏だとおもうと、冷や汗が出る。

 しかし、いつまでも眺めているわけにもいかない。覚悟を決め、三本の松を支えている松を切ることにした。太さは15cmぐらいで、3本の松よりはぐっと細い。倒れる方向を見定め、倒れる方向の根元にチェーンソーで「く」の字型に切り込みを作る。そして反対側に慎重にチェーンソーの回転するチェーンをいれていく。

 木が倒れ始めたら、素早く逃げなければならない。倒れる途中だけではなく、倒れた後も油断は出来ないのだ。倒れる途中には上から折れた枝が落下してきたり、倒れた後は木が大きくバウンドして、その木に跳ね飛ばされる危険があるのだ。

 チェーンソーの回転歯が松の三分の二ぐらいまで切り込んだところで、松がゆっくりと傾き始めた。私はすぐにチェーンソーを持ったままそこから15mぐらい離れた場所まで避難した。

 メリメリというような音とともにブチッというような鈍い音がして、三本の松の大木がどっと地面に倒れ込むさまが目に入ってきた。

 何十本もの枝が地に激突してバチバチ、ブチブチッと折れ、3本の幹が地で何度かバウンドしてドドーン、バシーン、と大音響をたてる。辺りの空気が揺らぐと同時に足元の地が波打つようだった。ものの二、三秒が、私にはかなり長い時間にかんじられた。3本の大木はおもいおもいの方向を向いて地に横たわった。

 と、私の頭上の松の木の頭が大きく右に左に空を掃くように揺らいでいることに気がついた。その松は倒れた4本の松のどれかと蔓で繋がっていたのだろう。蔓が引っ張られて切れ、その反動で揺れているに違いない。大音響の中でのブチッという音は蔓が切れる音だったのだ。場合によってはその松がどこかで折れることもあり得たとおもうと、ゾッとした。

 現役時代は小学校の教師で、執筆が趣味で、鉛筆ぐらいしか持ったことがなかった私が鉛筆の代わりにチェーンソーで松の大木を伐採するなんて、以前は想像だにしなかったことである。ましてや、倒れた大木が大音響をたててバウンドする醍醐味を味わうことが出来るなんて。

 このとき私は自分の健康や身体のパワーの全開を、ダイナミックに躍動する生の歓びを実感したものである。

 相方に出会い、アロエ製品を摂るようになって、本当によかったと改めておもう次第である。


2020年04月25日